SAD(社会不安障害)について
最近、SAD (social anxiety disorder)社会不安障害に関する記事や情報を様々なメディアで目にします。そこでは、SADは性格の問題ではなく脳の病的な状態であり、薬物療法が有効であると主張されています。確かに薬物がSADの症状に有効な場合もあり、また時には症状が解消する症例もあるかも知れません。
しかし、SADの少なからぬ割合の人たちにおいて、性格の問題と深く関わった心理的葛藤が症状をもたらしていると思われます。このような症例では、薬物は一時しのぎに過ぎず、根本的な解決は心理的葛藤の解消の方向しかありません。
これはSADにかぎらず全ての神経症(不安障害その他)の治療に言えることですが、カウンセリングにおいて、心理的葛藤の洞察、すなわち頭でわかることは治療の入り口です。葛藤を克服するということは感情的なプロセスであって、それは本人の心の中にある健康な力が引き出されて行くことによって実現するのだと思います。